(前回の続き…)
竣工から13年、2015年11月。
主屋のギャラリーとカフェは、惜しまれながらも店を閉じられることになります。閉店の報は、当設計室の旧HP「案内とお知らせ」でも書かせて頂いていましたが、まわりにカフェが増えたことと、スペースの問題もあって、決断されたようでした。
その翌年、2016年5月。2代目小川光三(こうぞう)氏は亡くなられます。
こちらは、2017年ごろの様子で、道路側から建物をみたところです。

実はこの場所は歴史的景観を保護するための特別な地区で、建物にも厳しい規制がかかっています。本来は変化しないはずの街並みなのですが、いつの間にか、にぎやか通りへと一変し、周囲がかわっていく様子に驚いたものです。
町並みの面が変わったので、お店の見え方もずいぶん変わってしまったと思いました。灯のつかないギャラリーが少し寂しげにみえます。
こちらは、奥庭の茅を葺き替える少し前の特別展示室。歳月を経て、茅葺き屋根は風格ある佇まいとなっています。

こちらは、じつは、茅が雨漏りがするようになったときき、伺わせて頂いたときの写真です。鳥が茅をついばんでしまうため、薄くなったところから、雨がしみているようでした。
※道路面にあったギャラリーを閉じられていたので、webでは「飛鳥園」は閉店したという書き込みがいまでも(2025)残ってしまっているのですが。閉じられていたときも、オフィスと茅葺きギャラリー(特別展示室)はそのまま残り、ギャラリーも不定期に開かれていました
こちらは茅葺きギャラリー(特別展示室)の内部

内部もきれいな状態。
15年という月日をかけて、自然素材の室内はより艶やかに。無垢材の家具も、重厚な趣きをまとっています。
(家具は、カフェの椅子やテーブルを含め、デザイナーでもある3代目小川光太郎氏が、インドネシアで買い付けてきたもので、これらは今でも(2025年)、お店で使われています。)
2018年。
雨漏りは、一時期は屋根に板金をかぶせようとする案もあったのですが、最終的に茅の屋根として残す決断をされます。この修繕のときの様子は別のブログ記事をよんでみてください。
→2018年blog 「飛鳥園-茅の修繕」

2022年、2月。
さて、そうした中、建物は全体をリニューアルされて、離れや庭で常設の展示がされるようになりました。主屋には、現在はテナントで「星日月」さんというお漬物バイキングと茶粥を扱うお店が入り、日本の伝統食を味わえるお店として人気店となっています。茅葺きギャラリーも常設のギャラリーとして新たな形で一歩を歩みはじめました。
建物の一部は改修で変わってしまいましたが、時代の変化に合わせていくことも大事です。
茅のギャラリーは当時の姿をとどめ残っておりますし、大切に使い続けて頂いており嬉しく思います。
なにより、多くの人で賑わっている通りやお店の様子をみることができたなら、この地に深い思い入れを持たれていた先代の光三氏もきっと喜ばれるのではないかと思いました。

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飛鳥園の場所は興福寺・奈良公園の近く。近鉄奈良駅からも歩いていける距離にあります。
観光ルート内にあるので、奈良にお越しのさいは是非お越しください。展覧会への理解もより一層深まると思います。
(ギャラリーのお休みは、「飛鳥園ギャラリー」のインスタで案内されているようですので、訪問前にご確認頂けますと幸いです。https://www.instagram.com/askaen__gallery/)
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worte:松田靖弘建築設計室・上野
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